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最高裁判所第三小法廷 昭和33年(あ)723号 決定 1958年7月08日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長崎祐三の上告趣意第一点は、原判決が憲法三一条に違反するというのであるが、要するに外国人は本邦に入ったときから六十日以内に登録申請の義務があり、その際虚偽の登録をするならば処罰されるが、右期間を経過すれば、不登録として処罰されるのは別として、どのように虚偽の登録申請をしても処罰されることはないという外国人登録法一八条一項一、二号、三条一項の独自の解釈を前提とするものに過ぎず、この解釈論は到底採用できない(外国人登録令所定の登録義務が期間の経過後も継続することは当裁判所昭和二七年(あ)七五三号同二八年五月一四日第一小法廷判決・刑集七巻五号一〇二六頁の判示するところでありこの理は本法三条一項の場合にも同様であるから、この義務の履行としての申請はその期間内と否とを問わず誠実になされなければならないこと当然である。)から違憲論はその前提を欠くものである。同第二点は、量刑の非難に止まりその他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己)

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